ユニホームくらいは強奪しなきゃなーと企みながら、菊丸は、ひとまず放課後の約束を取り付けた。今日はオレに時間をちょうだい。後輩相手の練習試合の最中くらい、まだオレの相棒でいてくれよ。 #菊丸誕
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そっかーおーいしオレのことだいすきだもんなー。ばしばしと背中を叩いてやりながら、けれど菊丸は思っていた。それでももう、この先は、ひとくくりの名では呼ばれることのなくなる自分たちのこと。オレはね大石、黄金ペアの大石秀一郎はオレのもんだと思ってるから。何か証拠がほしかった。 #菊丸誕
「趣味としては続けたいと思ってるし、できれば、その、休みの日とか、英二に付き合ってもらえたら嬉しいんだけど」ぱちくりと英二の両目が丸くなる。「え?そゆこと?」「そういうこと。だからラケット持ってかれると困るんだ」「なーんだなんだ、にゃーんだー」 #菊丸誕
何故だか笑いだしてしまいそうな大石を菊丸はじっとり睨み付けた。「にゃんだよーう」「ちがう英二、聞いて。たしかに俺は高校では部活やらないって言ったけど、それは勉強に本腰入れたいから中途半端になるのが嫌なだけで、テニスをもうやらないってことじゃないよ」 #菊丸誕
「大石、進学、外部だし。テニス部には入らないって言ってたし。じゃあさ、もう終わっちゃう大石のテニスは、オレがまるごともらっていいよな?オレはそれを言っていいよな?あ、もちろん年明けの追い出しマッチ終わってからで、いんだけど」「ストップ待って!英二、待って!」 #菊丸誕
「今年はトクベツ!だって中学最後だし」わかったからとりあえず言ってみなよ。そう促すと、菊丸はますます緊張に表情を固くした。これはいよいよ何を言い出すかわからないぞと大石は思う。日頃から菊丸の言動は大石の予想を軽々と飛び越える。「あのさ。大石のラケット、オレにちょーだい」 #菊丸誕
「今年はリクエストが、あんだよね」軽い口調とは裏腹に菊丸は神妙な表情をしていた。大石にとって菊丸の誕生祝は3度目になるが、プレゼントをねだられるのは初めてだ。包みを開けるときのわくわくってのがあるんだから、何がほしいとか訊くもんじゃないと叱られたことすらあったのに。 #菊丸誕