うつわというのは「何ものでもないなり」だということだ。世界を飲み込みつづけたうつわはやがて世界でいっぱいになり、世界そのものとほとんど見分けがつかなくなる。細く細く紛れるままの輪郭に、だが、ふいに呼びかけた声があった。うつわが小さく身じろぎすると、その内側も小さく揺れた。 2017.2.6(Mon) 08:48 twlog_3k