みずのそこ
aquascape

いってき、いってき

三日月は影をかかえた月だ。細いひかりばかりが三日月なのではない。暗く覆われた影のうちにはいくつもの海や湖がひっそりとしていて、そこには、ひとびとの手をはなれたのち、ついに届かなかった手紙や言葉が流れ着くのだった。もう千年もこれらを見守ってきたのだと、両眼に月を宿した男が言う。

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